磯子高校の森

神奈川県立磯子高等学校にある小さな森を残していきたい。磯子高校の記念としても。

コシアカツバメ 7月26日のこと

この日、コシアカツバメの親鳥の動きは、ここまで何回か見てきたものとは違っていました。

自分がピロティに入って行ったからなのかは分かりませんが、親鳥はピロティ内を比較的ゆっくり旋回します。そして、ヒィッ、ヒュィッあるいはヒェッ、といったような声を出して飛びます。警戒しているのかな、そのようにも思えます。親鳥は、すぐには巣へ近づきません。近づいたと思うと、ホバリングをして巣に入らず、巣の前から離れるのです。今まではこちらが気を抜いていれば、あっという間に巣内に入ってしまっていたのが、今回はどうも違うのです。

ピロティに戻って来るのは南側あるいは東側から、出ていくのは東側へ、です。

巣の出入り口には近づくけれどすぐに離れる、雛には餌を与えられないくらいの距離があります。ピロティに見られるいくつかの柱の間を、二周ほど旋回したりしてから、また巣に寄ってきます。これはどうしたことでしょう。

自分が巣の方向にカメラを構え、ストロボ発光の準備ができ、シャッターを半押しして待ち構えたときの予備的な発光に、警戒しているのでしょうか。

この日は、コシアカツバメとツバメの両方を見ていて、どちらかと言えば、コシアカツバメのほうに、より関心が向き始めました。雛の糞の「落とし始め」とみなした点もありますが、この時間帯の巣周辺における親鳥の動きが、これまでと違った目立ち方を見せてくれていたからです。

正確な時間は測れていませんが、巣に近づきホバリングをし、いったんその場から離れ、ピロティの柱の間を周回してまた巣に近づき、ホバリングする。その行動を複数回、繰り返すのです。多い時には10回近く行いました(きちんと数えておけばよかった)。これは、部外者(観察している私のことです)の巣への関心を、逸らすというか散らそうとでもしているかのようです。しかし、親鳥が苛立ってこちらに向かってくるようなことはありません。ですが、ここのところ、ある程度聞き分けられるようになった親鳥の鳴き声、ヒィッ、ヒュィッ、ヒェッというような声を、親鳥が外から戻って来た時に発しながら、ピロティ内を比較的ゆっくり飛ぶのです。それは警戒音の一種なのかもしれません。巣に居る雛とのコミュニケーションの一部とは考えられます。

この日の撮影は、ストロボをかなり使用したということもあってか、親鳥は巣の中から出入り口の所で、様子見をしているのが分かりました。親鳥が巣の中から出入り口に影を見せた時、半押しするとオートフォーカスされ、ストロボが少々パチパチ発光する、そのためだろうと思われます。

ストロボを焚かずに待ち構えている間、巣の出入り口付近に親鳥のそれらしい影が見えてから、飛び出すまでの時間は心持ち、短く感じられます。シャッター半押しでのパチパチ発光が、親鳥の飛び出ていくのを躊躇わせている様子が窺えました。こちらが目を離した隙に、さっとこなすことからも、巣の外の様子見をしているのは間違いないのでは、と思われます。

さて、ここで上述してきたことを、写真で追ってみたいと思います。

次の15枚の写真は、一眼レフカメラの内蔵ストロボによる最短連続撮影です。トリミングはしていません。コシアカツバメが写っていない写真があるのは、シャッターを切った瞬間にはフレームアウトしているからです。画像データから見ると、1分間に7枚撮れています。1枚当たり約8.6秒として、約2分9秒間の記録というところでしょうか。

f:id:akatsukaa:20170819013743j:plain (写真1)

f:id:akatsukaa:20170819013951j:plain (写真2)

f:id:akatsukaa:20170819014151j:plain (写真3)

f:id:akatsukaa:20170819014425j:plain (写真4)

f:id:akatsukaa:20170819014649j:plain (写真5)

f:id:akatsukaa:20170819015139j:plain (写真6)

f:id:akatsukaa:20170819015326j:plain (写真7)

f:id:akatsukaa:20170819015414j:plain (写真8)

f:id:akatsukaa:20170819015528j:plain (写真9)

f:id:akatsukaa:20170819015745j:plain (写真10)

f:id:akatsukaa:20170819015504j:plain (写真11)

f:id:akatsukaa:20170819015731j:plain (写真12)

f:id:akatsukaa:20170819023419j:plain (写真13)

f:id:akatsukaa:20170819020347j:plain (写真14)

f:id:akatsukaa:20170819020356j:plain (写真15)

そして、この日のことは、もう少し続きます。

コシアカツバメ二度目の子育て

今シーズン使われるのが二度目のこの巣が、何年前に掛けられ、観察するようになる前、どのように使われてきたのかは残念ながら分かりません。

少なくとも、昨年中に子育てが見られたのは一度であり、それ以前については、子育てが年間に二度以上行われてきた年があったのかは把握していません(個人的には、そういうことに頭が働いていなかったり、関心が向いていなかったんです)。

今年は、二度目の子育てが見られるかもしれない、それが、自分が関わる中では初めてのことですので、だんだん興味が大きくなってきたのです。

一つのシーズンに子育てが何度行われるのか、それがどれくらいの頻度なのかは、調べ不足のため比較できませんが、それは少々おき、まずは自分なりの観察が続けられるかに重きを置いていきたいと思っています。

個体識別ができているわけではありませんから、今回、巣を利用しているコシアカツバメの素性は分からないのですが、6月19日頃にその同じ巣で巣立ちまでを終えたのと同じ番(つがい)なのか、別の番なのか、あるいは雌雄のどちらか1羽は同じでもう1羽は新しい顔なのか、それとも巣立った子どもの1羽が相手を見つけてやって来たのかなど、考えてみると、子育てを一旦終えたのと同じ番である可能性が高いのかなという気はします(あくまで、そんな気がするだけです)。

ですから、正確には、コシアカツバメによる同じ巣での今年二度目の子育てが行われる、ということでしょうか。

途中で巣から居なくなったりしないか、いつもちょっと、はらはらしています。写真1~3は、居ることを確認しているようなものですね。

f:id:akatsukaa:20170806141354j:plain (写真1 7月10日)

f:id:akatsukaa:20170806141550j:plain (写真2 7月11日)

f:id:akatsukaa:20170806141703j:plain (写真3 7月13日)

そして、ついに雛の糞と思われるものが確認できました。7月26日です。巣の真下のコンクリート床の部分です(写真4)。これで、二度目の子育てまで繋がりました。その日の親鳥の動きは、特に印象的でした(写真5)。それはそれで、別にまとめてみたいと思います。

f:id:akatsukaa:20170806141958j:plain (写真4 7月26日)

f:id:akatsukaa:20170806142121j:plain (写真5 7月26日)

ヤマユリ咲く

磯子高校の森に、ヤマユリが咲きました。現在、たった一株一輪です。

一週間前にはまだ蕾の状態で、花被(かひ)の色が分かりませんでした。それが花開き、ヤマユリの特徴を見せてくれたのです(写真1,2,3)。

f:id:akatsukaa:20170724025044j:plain (写真1)

f:id:akatsukaa:20170724025319j:plain (写真2)

f:id:akatsukaa:20170724025547j:plain (写真3)

これは自生でしょうか、あるいは学校ができる前の雑木林に、人が移植したのでしょうか 。 この辺の事情も何とか、今後手掛かりを見つけていきたいと思っています。

職場の同僚に、かつてヤマユリが咲いていた、ということを知っている人はいません。異動した人たちはどうでしょうか。学校ができて約40年、磯子高校の森に自生していたとしても、今回の場所はふつう、目に付かないでしょう。また、たいていの場合、花が咲く前に下草刈りが行われてきたとすれば、なおさらです。その他の場所にも、かつてヤマユリがあったとして、今はすでに絶えてしまったか、今もまだ地中に眠っているのかは分かりません。少なくとも、ある場所では今年、日光を林床に届きやすく剪定し、笹薮も昨年から何度となく鎌を入れてきた、そこでユリらしき草姿を見つけて、注目していたのです。

よく咲いてくれました。花が見られないと何ユリかがはっきりしません。途中、虫食いに遭いながらも持ち堪え、開花に漕ぎ着けてくれたのです。

花被が4枚しかありませんが、2枚はどうしたのでしょう。花被らしきものは周囲には落ちていませんでした。やはり開花に至るまでに見舞われた虫食いの影響かも知れません。 この一週間に、一度でも足を運んでいれば、もう少しはっきりしたことが言えたでしょうが、それがなかなかできないんですね、残念ながら。でも、そこを何とかして観察できるようにしたいと思います。

それでも、花被2枚が不足するこのヤマユリの開花は、磯子高校の森の価値をまた一つ、気づかせてくれたのです。

なお、ヤマユリは神奈川県の県花です。神奈川県のホームページから引用しておきます。

   掲載日:2016年7月13日

   県の花:やまゆり  1951年(昭和26年)1月23日制定

日本最初の県花として,公ぼ・制定された「ヤマユリ」。ヤマユリが夏ごとに神奈川県の山野にさきみだれるよう,ヤマユリを守り育て,自然を大切にしましょう。

速報!コシアカツバメ再び

速報!としつつも、日付を跨(また)いでしまいました。

前回のブログ記事(糞の写真だけで恐縮です)で、コシアカツバメが巣立ったことをお伝えしたばかりですが、7月9日の午後6時半過ぎ、同じ巣にコシアカツバメが再び入っているのを確認しました(写真1)。

巣のほうに近づき見上げると、薄暗いピロティの天井にある巣の出入り口付近に、昨日は見かけなかった影がぼやっと見えるのです。ここのところ、ほとんど毎日見ているので、気づきやすくなっています。飛んで行ってしまわないうちに、あるいは巣の奥に引っ込まないうちに、写真に収めようと逸(はや)る気持ちを抑えてシャッターを切りました。ありがたいことに顔が写せました。

f:id:akatsukaa:20170710012941j:plain (写真1)

じつは前日の8日午後6時過ぎに、ツバメの巣の様子見にいったのですが(理由は後日に)、ふと振り向いたその時、コシアカツバメの巣辺りからツバメらしき飛影が南側(コシアカツバメの巣の出入り口の向いている方角)へ流れていくのが見えたのです。

その後、短時間のうちには戻って来ませんでしたし、巣の中から鳥の身体の一部分が見えることもありませんでした。飛影からは、ツバメの仲間に違いありません。コシアカツバメあるいはツバメ?

それがわずか一日で判明するとは思ってもいませんでした。

9日の様子見はわずか数分です。新事実(少なくとも自分にとって)を捉えることが、このようなちょっとした自分の行動で得られたりすることに、驚きと新鮮さを感じました。大切なことだな、と自分に言い聞かせています。

コシアカツバメ巣立つ

巣立ちは6月19日(頃)と思われます。

「ツバメのおトイレ」への糞の落ち具合から、推定してみました。写真1は、6月18日午後4時20分頃、写真2は、6月22日午後4時50分頃のものです。6月20日、21日にも短時間、様子見はしたのですが、何となく気配がしないなぁとその時、自分でも感じてはいて、今思えば日ごとに1枚ずつおトイレの写真を撮っていればよかったのですが。

写真1と写真2の黄色で囲った部分が明らかに違っています。新聞紙が内側に曲がり込んでしまって、その下の部分を比較できませんが、仮に新聞紙の端が写真のように糞の上を覆ったのが22日の撮影直前であったとしても、18日から22日の間、新聞紙で隠れた部分に集中的に糞が落ちたとは考えにくいため、写っている部分だけで判断してみました。

じつは巣立ちの日を特定しようとは考えていなかったため、子育てが無事終了した、と見極めた時点で、おトイレは片づけて新聞紙もポリ袋に入れてしまったので、この2枚の写真の比較が、巣立ちを推定するには最も適していたわけです。

6月6日から糞を落とし始めたとして、6月19日まで14日間の出来事でした。

f:id:akatsukaa:20170707055835j:plain (写真1)

f:id:akatsukaa:20170707060205j:plain (写真2)

コシアカツバメの雛・子育て確認

6月9日の夕方、仕事に区切りをつけて、ツバメの様子見に。蚊取り線香を持参。

体育祭が終わり、生徒たちの応援練習による早朝や夕方の賑やかさが収まったため、寄り付く機会を阻まれていたカラスが戻りつつあることでしょう。営巣中のツバメ(ヒルンド・ルスティカ)の巣がカラスに狙われていないか、辺りを見回しながら、ピロティに。

巣は無事でした(写真1) 。 f:id:akatsukaa:20170611045419j:plain (写真1)

そこへ、音も立てずに素早く外へ向かう影が。コシアカツバメの巣のほうからです。そちらに行ってみると、いつの間にか糞が(写真2)。雛がいることは確実です。写真3は、6月6日の夕方のものです。撮った時、あまり気にしていなかったのですが、これが糞落としの始めだった気がしてきました。生徒たちや同僚の話では、8日にはあったということです。目に留まるくらいの量になっていたということでしょう。

f:id:akatsukaa:20170611050002j:plain (写真2:6月9日)

f:id:akatsukaa:20170611050324j:plain (写真3:6月6日)

前回の疑問(親鳥の巣への戻りや飛び立っていく方角、巣からの出方)もあったので、コシアカツバメの側にいると、頻繁に行き来をしていました。2~3分に1度戻っては出ていきます。長くて約5分、この日の観察の終い(しまい)くらいに10分程待ったのが1回ありました。時間間隔の長短は、餌の捕獲にかかる時間だとすれば、かなり捕まえやすい条件だったといえましょうか。

さて、親鳥の巣への出入りですが、前回とは違って、ピロティの東側に飛んで行きまた東側から戻って来る時もあり、東側から戻って来て南側に飛んで行く、南側から戻って来てまた南側に飛んで行く、南側からすぐに巣に入らずにピロティを少し旋回してから巣に入るなど、まるでこちらに意図的に不規則さを示そうとしているかのようでした。雛への給餌の仕方も、すっかり巣の中に入って姿が見えなくなる時と、戻って来たかと思った瞬間に巣の出入り口であっという間に給餌してそのまま飛び立っていくなど、巣での滞在時間にも差がありました。

巣から出てくるときに、外の様子を窺い時間をかけて(とは言っても、実際の時間は1分足らずですが)飛び立っていくところも何度か観察され、撮影もできました(写真4-1~写真5-2)。もしかすると、シャッターを半押ししているときのランプの点灯が、親鳥の行動に影響を与えているのかもしれません。

f:id:akatsukaa:20170611050710j:plain (写真4-1:少しずつ顔を出し始めました) f:id:akatsukaa:20170611051658j:plain (写真4-2:こちらを見ていますね) f:id:akatsukaa:20170611052057j:plain (写真4-3:飛び立とうとしている瞬間です) f:id:akatsukaa:20170611052612j:plain (写真4-4)

f:id:akatsukaa:20170611053238j:plain (写真5-1:写真4-4の約3分後) f:id:akatsukaa:20170611053629j:plain (写真5-2)

親鳥のその他の巣入り、飛び立っていく姿です(写真6-1~写真11)。

f:id:akatsukaa:20170611054018j:plain (写真6-1:写真5-2の約2分後に戻って来ました) f:id:akatsukaa:20170611054307j:plain (写真6-2) f:id:akatsukaa:20170611054719j:plain (写真6-3) f:id:akatsukaa:20170611054855j:plain (写真6-4) f:id:akatsukaa:20170611073117j:plain (写真6-5) f:id:akatsukaa:20170611073437j:plain (写真6-6:写真6-1からここまで1分以内)

f:id:akatsukaa:20170611073808j:plain (写真7-1:戻って来たところ) f:id:akatsukaa:20170611073947j:plain (写真7-2) f:id:akatsukaa:20170611074149j:plain (写真7-3:写真7-1からの3枚はストロボの充電がされるまでの時間間隔に等しい撮影)

f:id:akatsukaa:20170611074317j:plain (写真8)

f:id:akatsukaa:20170611074437j:plain (写真9-1) f:id:akatsukaa:20170611074602j:plain (写真9-2:素早く飛び立つ)

f:id:akatsukaa:20170611074729j:plain (写真10-1:戻って来たところ) f:id:akatsukaa:20170611075636j:plain (写真10-2) f:id:akatsukaa:20170611075323j:plain (写真10-3:すぐに飛び立つ)

f:id:akatsukaa:20170611075836j:plain (写真11)

また、今回は観察中に雛が3度、お尻を出してきました。1度目(写真12)から2度目(写真13)までの時間は約9分、2度目から3度目(写真14)までは約22分。雛が何羽いるのか確認できないので、写真から同じ雛なのか違う雛なのかを見分けられればと思います。

f:id:akatsukaa:20170611080053j:plain (写真12) f:id:akatsukaa:20170611080222j:plain (写真13) f:id:akatsukaa:20170611080339j:plain (写真14)

こうしている間に、ツバメ(ヒルンド・ルスティカ)の巣のほうでは何度も鳴き声がするので、戻って来たことが分かるのですが、それに比べるとコシアカツバメのほうは、どうも鳴き声がしない、あるいは気づきにくい程度のものなのかもしれません。それも雛の成育状態によるのかどうか。

週明け以降、簡易な「ツバメのおトイレ」の設置を予告しておきました(写真15)。

f:id:akatsukaa:20170611080542j:plain (写真15)

観察を終え、ピロティから南側に出ると、上空からツバメらしき鳴き声が聞こえてきます。空を見上げると、けっこうツバメらしき姿が行き交っています。写真16は、ツバメでしょうか。写真17は、コシアカツバメのように思えます。

f:id:akatsukaa:20170611080653j:plain (写真16) f:id:akatsukaa:20170611080752j:plain (写真17)

磯子高校の西側の森の上には、夕暮れの空が広がっていました(写真18)。 f:id:akatsukaa:20170611081050j:plain (写真18)