コシアカツバメの雛・子育て確認
6月9日の夕方、仕事に区切りをつけて、ツバメの様子見に。蚊取り線香を持参。
体育祭が終わり、生徒たちの応援練習による早朝や夕方の賑やかさが収まったため、寄り付く機会を阻まれていたカラスが戻りつつあることでしょう。営巣中のツバメ(ヒルンド・ルスティカ)の巣がカラスに狙われていないか、辺りを見回しながら、ピロティに。
巣は無事でした(写真1) 。 (写真1)
そこへ、音も立てずに素早く外へ向かう影が。コシアカツバメの巣のほうからです。そちらに行ってみると、いつの間にか糞が(写真2)。雛がいることは確実です。写真3は、6月6日の夕方のものです。撮った時、あまり気にしていなかったのですが、これが糞落としの始めだった気がしてきました。生徒たちや同僚の話では、8日にはあったということです。目に留まるくらいの量になっていたということでしょう。
(写真2:6月9日)
(写真3:6月6日)
前回の疑問(親鳥の巣への戻りや飛び立っていく方角、巣からの出方)もあったので、コシアカツバメの側にいると、頻繁に行き来をしていました。2~3分に1度戻っては出ていきます。長くて約5分、この日の観察の終い(しまい)くらいに10分程待ったのが1回ありました。時間間隔の長短は、餌の捕獲にかかる時間だとすれば、かなり捕まえやすい条件だったといえましょうか。
さて、親鳥の巣への出入りですが、前回とは違って、ピロティの東側に飛んで行きまた東側から戻って来る時もあり、東側から戻って来て南側に飛んで行く、南側から戻って来てまた南側に飛んで行く、南側からすぐに巣に入らずにピロティを少し旋回してから巣に入るなど、まるでこちらに意図的に不規則さを示そうとしているかのようでした。雛への給餌の仕方も、すっかり巣の中に入って姿が見えなくなる時と、戻って来たかと思った瞬間に巣の出入り口であっという間に給餌してそのまま飛び立っていくなど、巣での滞在時間にも差がありました。
巣から出てくるときに、外の様子を窺い時間をかけて(とは言っても、実際の時間は1分足らずですが)飛び立っていくところも何度か観察され、撮影もできました(写真4-1~写真5-2)。もしかすると、シャッターを半押ししているときのランプの点灯が、親鳥の行動に影響を与えているのかもしれません。
(写真4-1:少しずつ顔を出し始めました) (写真4-2:こちらを見ていますね) (写真4-3:飛び立とうとしている瞬間です) (写真4-4)
(写真5-1:写真4-4の約3分後) (写真5-2)
親鳥のその他の巣入り、飛び立っていく姿です(写真6-1~写真11)。
(写真6-1:写真5-2の約2分後に戻って来ました) (写真6-2) (写真6-3) (写真6-4) (写真6-5) (写真6-6:写真6-1からここまで1分以内)
(写真7-1:戻って来たところ) (写真7-2) (写真7-3:写真7-1からの3枚はストロボの充電がされるまでの時間間隔に等しい撮影)
(写真8)
(写真9-1) (写真9-2:素早く飛び立つ)
(写真10-1:戻って来たところ) (写真10-2) (写真10-3:すぐに飛び立つ)
(写真11)
また、今回は観察中に雛が3度、お尻を出してきました。1度目(写真12)から2度目(写真13)までの時間は約9分、2度目から3度目(写真14)までは約22分。雛が何羽いるのか確認できないので、写真から同じ雛なのか違う雛なのかを見分けられればと思います。
(写真12) (写真13) (写真14)
こうしている間に、ツバメ(ヒルンド・ルスティカ)の巣のほうでは何度も鳴き声がするので、戻って来たことが分かるのですが、それに比べるとコシアカツバメのほうは、どうも鳴き声がしない、あるいは気づきにくい程度のものなのかもしれません。それも雛の成育状態によるのかどうか。
週明け以降、簡易な「ツバメのおトイレ」の設置を予告しておきました(写真15)。
(写真15)
観察を終え、ピロティから南側に出ると、上空からツバメらしき鳴き声が聞こえてきます。空を見上げると、けっこうツバメらしき姿が行き交っています。写真16は、ツバメでしょうか。写真17は、コシアカツバメのように思えます。
(写真16) (写真17)
磯子高校の西側の森の上には、夕暮れの空が広がっていました(写真18)。 (写真18)
ツバメの様子を探る
5月22日、コシアカツバメの巣に出入りする目撃情報を得ました。その鳥がコシアカツバメなのかどうか、確認する時間が取れずにいましたので、書類作りにも疲れ、今日はもうやめたとパソコンを閉じた6月1日午後6時、前回のツバメの番(つがい)の様子見と合わせて、カメラを手にピロティに向かいました。この日(昨日のことですが)は朝まで雨が強く降りましたが、その後雨は上がり、少し蒸していました。校内は体育祭に向けて応援練習に励む生徒たちの活発な(これは、決して大袈裟な表現ではなく、また学校をよく見せようなどというつもりもありません。声の反響はかなりのものだったのです。磯子高校の森は、防音林にも役立っているのです。)姿が見られる中、ツバメたちはどうしているだろうかと。
ピロティには体育祭で使われるテントが足を畳んだ状態でいくつか置かれていて、生徒たちの一つの組は、ピロティを東側に出た体育館脇で練習をしていました。当然、ピロティに生徒たちの声はガンガンに響きます。コシアカツバメの巣の下に近づいて眺めていると、ツバメの鳴き声が盛んに聞こえ、巣に戻ってきた姿が見えました。そちらに行ってみると、番(つがい)です(写真1)。
(写真1)
一安心して、またコシアカツバメの巣のほうへ。すると間もなく、巣に素早く入り込む、そして素早く飛び出していく姿が見られ、待ち構えることに。
ツバメと違って、コシアカツバメは巣の出入り口に留まっていることはなく、あっという間に巣の奥に入ってしまうか、飛び立っていってしまうので、姿を眼にしてからカメラを構えたのではまず撮影できません。そういえば、昨年もそんなだったことを思い出しました。
5分おきくらいに一度、戻って来ては飛び出していくのを確認、1羽が戻って間もなく、また1羽が戻って来たのも見ました。
コシアカツバメは、どうも後ずさりして巣の外に出てくるように見えるのですが、今度は動画を撮って確認できればと思っています。巣から出て飛んでいく方角は東側に、戻ってくるときは南側からです。巣の出入り口が向いているのが南側です。そのまま南側に飛んで行ってもよさそうなのですが。巣の位置をなるべく察知されないため、などということもあるんでしょうか。
ピロティの吹き抜けは三方向で、東、南、北です。西側は武道場があり、行き止まりです。南北方向に東側から突き当たるT字型をしています。南北方向はどちらかといえば通路です。北側にはグラウンドがあり、防球ネットが張ってあるので、それがツバメのピロティへの出入りに影響していると思われます。
何とか撮りおさめたのが写真2と写真3です。
(写真2)
(写真3)
ツバメは不思議です。人に飼われているわけではないのに、こんなに賑やかな場所で子育てをしようとしているわけですから。しかし、おかげでカラスの侵入は阻まれているでしょう。ここのところ、早朝から生徒たちは集まって応援練習をしていましたし、下校時刻までよくやっていました。
その体育祭は今日、6月2日です。
体育祭が終わると、ツバメたちにとってカラスとの攻防がまた始まるのでしょう。
結局30~40分くらい観察していて、やはり蚊取り線香を持参すべきでした。
磯子高校を中心とした周辺地域の緑の状況
磯子高校周辺の緑の状況がどうなっているのか、国土地理院の2万5千分の1の地形図を使って色を塗り、自分なりに確かめていくことにしました。
使用した地形図:戸塚 NI―54―258―4(東京8号-4)平成19年5月1日発行1刷
まず緑地に該当する箇所を緑色で塗っていこうと思っていましたが、すぐに方針を変え、先に建物やその密集地を赤色に塗っていくことにしました(写真1)。磯子高校は、上中里町の文字がかかったロの字型の建物がある学校です。
(写真1)
道路や鉄道、学校、発電所や工場、何があるのか不明な場所は、塗らないようにしました(はみ出したりはしています)。地形図紙面が少したわんでいるのは愛嬌ということで。
色塗りの範囲には、磯子高校がほぼ中心にあり、北東部に京浜急行線の屛風浦駅(びょうぶがうらえき)、そこから西に行き、笹下五丁目で南西方向へ。横浜横須賀道路に突き当たった所で道路沿いに南下、そして今度は横浜横須賀道路金沢支線に沿って東へ行き沿岸部へ、そして北上して屛風浦駅辺りへという囲み方をしてみました。徒歩をちょっとためらう圏内でしょうか。
さて、この範囲内にどれくらい、ほとんど改変されていない表土層をもつ緑が残されているでしょうか。
カラスへの警告はさらに続けてみますw
5月23日夕方、ピロティへ。「カラス侵入禁止」の警告文が3枚コンクリート床に散乱していました。ここのところ風が強く、大きく煽られ揺す振られたためでしょう。細い針金がちぎれた感じのと、パンチの一穴から裂けているものもありました。針金が細すぎて一重では持たなかったようです(写真1,2)。
(写真1)
(写真2)
落ちていた3枚に改めて針金を二重あるいは三重にして通し、再度ピロティの配管に吊るしました。
番(つがい)のツバメの姿は見られませんでしたが、何度となくピロティに音も立てずに入って来ては柱の間を旋回して飛び去っていくツバメがいます。どうもコシアカツバメのように思えるのですが、確証が持てません。
明日から生徒たちは体育祭の練習を再開するので、ピロティやその周辺も賑やかになり、カラスも近寄れなくなりますが、前回も触れたように、人気(ひとけ)のない時間帯を狙ってくるでしょう。
今度はピロティから出た体育館周辺の木の枝に、警告文を取り付けてみようかと思っています。
カラスに告ぐw
5月21日、森の下草や笹刈りを少々したあと、カラス対策の試みです。
18時半過ぎにピロティにいくと、ツバメの姿はなく、外ではハシブトガラスがカーカーとしきりに鳴いているのが、ピロティの東側から聞こえてきました。やはり巣が壊れていたのはカラスの仕業なのかなと思いながら準備をしていると、2羽のツバメがピロティに入ってきました。天井近くを旋回し、配管の上に止まりました(写真1)。飛び立つと壊された巣とは別の、以前からある巣のあたりを2羽とも羽ばたきながら近寄り、覗き込んだような姿勢はしたものの、止まることなくまた外へ飛び去っていきました。
(写真1)
きっと巣を落とされた番(つがい)にちがいない、これは何とか子育てにつなげたい、そうこうしているうちに先ほどの2羽の番(つがい)が戻ってきたのです。12分後です。そして、今度は仲良く巣の中に入りました。このとき一緒にいた学校の代行員さんが先に天井の蛍光灯を点けてくれていたので、すぐにわかったのです(写真2)。外はさらに薄暗くなっていましたから、最終的な外出から帰ってきたのかもしれません。やがてカラスの声もしなくなりました。
(写真2)
もしかしたら、このような産卵前から、すでにツバメとカラスとの攻防戦が始まっているのかもしれない、そんなふうにも思えてきたのです。時間がないな……。
今回のカラス対策とは、森の手入れに入る前に作っておいた「警告文」です(写真3)。最近のニュースでご存知の方も多いと思いますが、「カラス侵入禁止」の掲示物によってカラスが寄り付かなくなるというので、さっそくやってみることにしたのです。
(写真3)
ピロティの上のほうには雨は当たらないので、掲示物の劣化や損傷はさほど考える必要もなく、A3用紙をラミネートし、2穴パンチして、100円ショップで購入した園芸用の細い針金を適当な長さにニッパで切り、柱に張られているワイヤーロープや配管に吊り下げました。合計12枚、風に煽られ位置がずれて重なってしまったものもありますが、取り付け場所としてはまずまず(写真4)。
(写真4)
風でバタバタ音を立てるこれらの掲示物に、かえってツバメたちが驚き、去ってしまわないかが心配でもあったのですが、取り付けている間、背にしていたのでどうだったでしょうか。
カラスの侵入を阻むにはやはり人の目が必要でしょうから、警告文自体に慣れてしまう前にさらにどうするか、です。
人気(ひとけ)のない朝や夕暮れ時、学校の休業日で部活動などがない昼間も、カラスの狙い目でしょう。
この警告文の効用は、別の点でより期待できそうです。実際の取り組みにより、ニュースがより身近な話題となる、ツバメやカラスへの視線が増える、ツバメへの理解を啓発する足掛かりになる、私とツバメやカラスの話をする生徒が確実に増える──。
一方、学校は教育の場といいながら、学校やその周辺の生態系に無頓着であるのは、大きな矛盾です。これからはその矛盾を問題視していく時代である、と考えています。
巣が……
5月12日、仕事で校内の植栽等を見て回る途中、ツバメの巣のあるピロティに行きました。ツバメの姿は確認できませんでしたが、巣に異変はありませんでした。それが12日の17時近くです。
14日、一週間前に笹刈りの手伝いをしてくれた卒業生がこの日も来てくれました。
笹刈りの作業に入る前に、ツバメの巣を見ることに。行ってみて、びっくり。
「えっ? あれ? ない!」
5日にツバメの居た巣が、左右のふちを残して消えていたのです(写真1,2)。
(写真1:14日14時40分)
(写真2:14日14時40分)
異変のなかった12日17時頃から2日足らず。泥巣の残骸は見当たりません。コンクリート張りの床はきれいに掃除されたようです(写真3)。
(写真3)
カラスの仕業……。襲われたとして、夜間は考えられないので、13日の明るくなってから暗くなるまでの間か、14日の空が白んでから昼過ぎくらいまでの間でしょうか。13日は日中、本降りの雨でした。14日は晴れていました。
状況を把握するため、15日の月曜から聞き取りをしました。
巣が壊されているので、その残骸がピロティのコンクリート床に落ちて散乱していたとしてもいいはずだからです。
14日午前中、10時前後に野球部のマネージャーらが床一面、掃除をしたことが分かりました。直接その巣が落ちていたであろう箇所の掃除を担当した生徒に、話を聞いてみたいと思ったのですが、すでに下校していたので、改めて話を聞くことにしました。
その後、15日17時半近く、ピロティの上、体育館の脇から、墨色の雲が流れていく(写真4,5,6)のを見たりしていました。するとツバメが2羽、飛来しているのが目に入り、姿を追っていると、何とピロティに出入りしているではありませんか。
(写真4:西側の森北端方向から流れて来る)
(写真5:学校から北の方角)
(写真6:東側の森北端方向)
巣を壊された番(つがい)でしょうか。子育てに希望が持てるかもしれません。
さて翌日、改めてその巣が落ちていたであろう箇所の掃除を担当した生徒からも、話を現場で聞くことができました。
ピロティのコンクリート床に泥巣の残骸や卵の殻、羽など何か落ちていなかった? 何か、気がついたことはなかった?
砂や土埃はあったけれど、特に土の塊のようなものはなかった、といいます。
13日は雨模様で、野球部員はピロティで素振りや腹筋等をしていたとのこと。コンクリート床を掃除したのは、14日の午前10時前後。
襲われたとすれば、生徒のいない13日の早朝あるいは夕方、14日の早朝あたりでしょうか。
生徒たちにはこれから何か気づいたことがあったら教えてほしいと伝え、協力を願ったのです。
さて今後、カラス対策をどうするか、です。