けもの道
森の手入れとして、下草刈り、とはいってもほぼササに覆われているといっていいほどなので、笹刈りを進めていきます。
その最中に気づくのが、何やら細い空間です。
そこだけササも、稈(かん)がまばらです。人が立ち入ったにしては、空間の幅が狭かったり、丈が低かったりしています。
そのような空間ができるとすると、何か人以外の動物が歩いた、しかも割と頻繁に通らなければ、下草に覆われてしまうはずです。ササは伸びが早いですし、筋状の痕跡が見て取れなくなるのも、長い歳月を必要とはしません。
動物のどの程度の体重で、ササの伸びが抑制されるのかわかりませんが、何者かが通っていて道が出来ていると考えてよいのではないかと思います。
この辺りで哺乳類となると、一番大きくてタヌキでしょう。タヌキは数年前、グラウンドでも親子連れが目撃されています。壁際に糞をかけられて困った話を聞きました。
今年の春までに実際、私も林縁で見かけています。ただ、その個体はタヌキのイメージとは程遠い、身体が細く、毛が白っぽくパサついた、一見、何だかわからない動物でした。
私が実際に目にしたことのある哺乳類は、このタヌキとタイワンリス、そして森の小道で死んでいたのを見つけたヒミズの3種類だけです。
近所から森にイヌやネコが入り込むことはまずないと思われます。よく話に出てくるのはハクビシンですが、個人的には「?」です。以前、別の所で白骨化しかけたミイラをハクビシンじゃないかと何人かの人がいうのを見たことがありますが、それはイヌでした。
三浦半島のほうから北上して関東地方に広がり、おそらく対策を施すにはすでに手遅れといわれるアライグマは、話にも聞きません。
他にイタチ科の動物の名前が挙がることはありますが、証拠となるものがないので、ここで考えられるのは、今のところタヌキだけです。
さて、どのようなものかを写真でご覧いただきましょう。
けもの道と思われる部分には、踏み込む前に撮影しています。ササ等を刈り進めていく途中で見つけていますので、けもの道自体は残していますが、その周辺や上を覆っているものは刈り取っていたりします。
(写真1)
(写真2)
写真3は、ヤツデの下に、道幅よりも明らかに広くなった空間を見つけました。休息場でしょうか。
(写真3)
写真4~6には、プラ容器や人の履物が落ちています。このようなものは、めったにないのですが、あればルートの一部に利用しているのだと思いました。
(写真4)
(写真5)
(写真6)
こうした生活の道を見つけると、姿は見えなくとも、生きものを肌で感じ、何だか自分の意識が新しくなるのが不思議です。