磯子高校の森

神奈川県立磯子高等学校にある小さな森を残していきたい。磯子高校の記念としても。

神奈川県・横浜市へのお願いです

横浜市の緑被率(樹林地)は17.0%であることを前回触れました。では、磯子区の緑被率26.9%のうち、樹林地はどれくらいでしょうか。

2014(平成26)年度の磯子区の面積が1901ha、樹林地は368haと公表されています。ですので、磯子区の樹林地19.4%ですね。

さて、この樹林地の中で、表土の改変がほとんど行われず、現在に引き継がれているのはどれくらいなのでしょうか。このデータがあれば、どなたか教えていただけるといいんですが。

注目すべき点とは、ここなのです。19.4%のうち、どれくらいなのか……。

表土の保たれた樹林地は今後、減りはしても増えることはありません。表土層は今後、守るべき対象です。その中の目に見えない微生物を始め、そこに生息する生きものを丸ごと未来の世代に引き継いでいく、それはとても大切なことと考えます。その丸ごとの生態系を表すのに、表土の改変のほとんどない樹林地に注目しているのです。特に、今ではとびとび点在する小規模な緑地の行く末を案じてのことです。その一つが「磯子高校の森」なのです。

改変のない表土層に、なぜそんなにこだわるのかと首をかしげる方がいると思います。

一例をあげます。 土壌中の細菌から新薬の開発研究がされる、そういう細菌を探されている人たちがいます。

また、何かの本で次のような話が出ていました。京都大学のキノコを専門にする先生で、吉田山の小道にコンクリートを流すことに反対される方がいました。キノコなどの菌類は、ふだん過ごしている姿(本体)が「菌糸」といって、土壌中を伸びていきます。通常、人の目に触れません。それが分断されるというのです。そのキノコの気持ちがわかるかと訴えられていたそうです。

磯子高校の小さな森の表土層にも、過去からの生きた遺産として脈々と続いているのは、まちがいありません。

現在、世界に細菌は100万種以上いると予測され、そのうち人に知られているのは、数千から1万種に過ぎません。未来の人たちが探索・活用できるためにも、これらの生息地を残していく必要があるのではないでしょうか。

ここで強調したい理由は、都市部の緑の状況です。上空からの写真を見ると、だんだんと人が緑を囲み、閉じ込めている、そうした印象を受けます。もはやそこから植物が自ら分布を広げていくことは絶望的といえるほどになってきました。そして何より、緑が姿を消していくことがまだまだ続きそうです。もともとある緑を表土層ごと消滅させ、代替として新たに緑化を推進するというのは、もはや時代錯誤であり、緑地としての価値を損ねています。 神奈川県・横浜市には先見の明を期待します。

引き続き、このブログでは緑の大切さを取り上げていくつもりですが、ここでお願いです

神奈川県・横浜市は、所有している緑地を手放すことなく、上記のような表土層を基盤とする緑の維持・存続を図ってください。

それらは樹林地に限ったことではありませんが、当ブログでは、磯子高校にある樹林地の中に、それに該当する部分が含まれているため、話を絞っています。辛うじて残され、生き延びてきた生きものたちの住みかを、ざっくり切り崩すようなことは避けてください。