磯子高校の森

神奈川県立磯子高等学校にある小さな森を残していきたい。磯子高校の記念としても。

ツバメの様子を探る

5月22日、コシアカツバメの巣に出入りする目撃情報を得ました。その鳥がコシアカツバメなのかどうか、確認する時間が取れずにいましたので、書類作りにも疲れ、今日はもうやめたとパソコンを閉じた6月1日午後6時、前回のツバメの番(つがい)の様子見と合わせて、カメラを手にピロティに向かいました。この日(昨日のことですが)は朝まで雨が強く降りましたが、その後雨は上がり、少し蒸していました。校内は体育祭に向けて応援練習に励む生徒たちの活発な(これは、決して大袈裟な表現ではなく、また学校をよく見せようなどというつもりもありません。声の反響はかなりのものだったのです。磯子高校の森は、防音林にも役立っているのです。)姿が見られる中、ツバメたちはどうしているだろうかと。

ピロティには体育祭で使われるテントが足を畳んだ状態でいくつか置かれていて、生徒たちの一つの組は、ピロティを東側に出た体育館脇で練習をしていました。当然、ピロティに生徒たちの声はガンガンに響きます。コシアカツバメの巣の下に近づいて眺めていると、ツバメの鳴き声が盛んに聞こえ、巣に戻ってきた姿が見えました。そちらに行ってみると、番(つがい)です(写真1)。

f:id:akatsukaa:20170602061918j:plain (写真1)

一安心して、またコシアカツバメの巣のほうへ。すると間もなく、巣に素早く入り込む、そして素早く飛び出していく姿が見られ、待ち構えることに。

ツバメと違って、コシアカツバメは巣の出入り口に留まっていることはなく、あっという間に巣の奥に入ってしまうか、飛び立っていってしまうので、姿を眼にしてからカメラを構えたのではまず撮影できません。そういえば、昨年もそんなだったことを思い出しました。

5分おきくらいに一度、戻って来ては飛び出していくのを確認、1羽が戻って間もなく、また1羽が戻って来たのも見ました。

コシアカツバメは、どうも後ずさりして巣の外に出てくるように見えるのですが、今度は動画を撮って確認できればと思っています。巣から出て飛んでいく方角は東側に、戻ってくるときは南側からです。巣の出入り口が向いているのが南側です。そのまま南側に飛んで行ってもよさそうなのですが。巣の位置をなるべく察知されないため、などということもあるんでしょうか。

ピロティの吹き抜けは三方向で、東、南、北です。西側は武道場があり、行き止まりです。南北方向に東側から突き当たるT字型をしています。南北方向はどちらかといえば通路です。北側にはグラウンドがあり、防球ネットが張ってあるので、それがツバメのピロティへの出入りに影響していると思われます。

何とか撮りおさめたのが写真2と写真3です。

f:id:akatsukaa:20170602062051j:plain (写真2)

f:id:akatsukaa:20170602062150j:plain (写真3)

ツバメは不思議です。人に飼われているわけではないのに、こんなに賑やかな場所で子育てをしようとしているわけですから。しかし、おかげでカラスの侵入は阻まれているでしょう。ここのところ、早朝から生徒たちは集まって応援練習をしていましたし、下校時刻までよくやっていました。

その体育祭は今日、6月2日です。

体育祭が終わると、ツバメたちにとってカラスとの攻防がまた始まるのでしょう。

結局30~40分くらい観察していて、やはり蚊取り線香を持参すべきでした。

磯子高校を中心とした周辺地域の緑の状況

磯子高校周辺の緑の状況がどうなっているのか、国土地理院の2万5千分の1の地形図を使って色を塗り、自分なりに確かめていくことにしました。

使用した地形図:戸塚 NI―54―258―4(東京8号-4)平成19年5月1日発行1刷

まず緑地に該当する箇所を緑色で塗っていこうと思っていましたが、すぐに方針を変え、先に建物やその密集地を赤色に塗っていくことにしました(写真1)。磯子高校は、上中里町の文字がかかったロの字型の建物がある学校です。

f:id:akatsukaa:20170524231310j:plain (写真1)

道路や鉄道、学校、発電所や工場、何があるのか不明な場所は、塗らないようにしました(はみ出したりはしています)。地形図紙面が少したわんでいるのは愛嬌ということで。

色塗りの範囲には、磯子高校がほぼ中心にあり、北東部に京浜急行線の屛風浦駅(びょうぶがうらえき)、そこから西に行き、笹下五丁目で南西方向へ。横浜横須賀道路に突き当たった所で道路沿いに南下、そして今度は横浜横須賀道路金沢支線に沿って東へ行き沿岸部へ、そして北上して屛風浦駅辺りへという囲み方をしてみました。徒歩をちょっとためらう圏内でしょうか。

さて、この範囲内にどれくらい、ほとんど改変されていない表土層をもつ緑が残されているでしょうか。

カラスへの警告はさらに続けてみますw

5月23日夕方、ピロティへ。「カラス侵入禁止」の警告文が3枚コンクリート床に散乱していました。ここのところ風が強く、大きく煽られ揺す振られたためでしょう。細い針金がちぎれた感じのと、パンチの一穴から裂けているものもありました。針金が細すぎて一重では持たなかったようです(写真1,2)。

f:id:akatsukaa:20170523203806j:plain (写真1)

f:id:akatsukaa:20170523204017j:plain (写真2)

落ちていた3枚に改めて針金を二重あるいは三重にして通し、再度ピロティの配管に吊るしました。

番(つがい)のツバメの姿は見られませんでしたが、何度となくピロティに音も立てずに入って来ては柱の間を旋回して飛び去っていくツバメがいます。どうもコシアカツバメのように思えるのですが、確証が持てません。

明日から生徒たちは体育祭の練習を再開するので、ピロティやその周辺も賑やかになり、カラスも近寄れなくなりますが、前回も触れたように、人気(ひとけ)のない時間帯を狙ってくるでしょう。

今度はピロティから出た体育館周辺の木の枝に、警告文を取り付けてみようかと思っています。

カラスに告ぐw

5月21日、森の下草や笹刈りを少々したあと、カラス対策の試みです。

18時半過ぎにピロティにいくと、ツバメの姿はなく、外ではハシブトガラスがカーカーとしきりに鳴いているのが、ピロティの東側から聞こえてきました。やはり巣が壊れていたのはカラスの仕業なのかなと思いながら準備をしていると、2羽のツバメがピロティに入ってきました。天井近くを旋回し、配管の上に止まりました(写真1)。飛び立つと壊された巣とは別の、以前からある巣のあたりを2羽とも羽ばたきながら近寄り、覗き込んだような姿勢はしたものの、止まることなくまた外へ飛び去っていきました。

f:id:akatsukaa:20170522234853j:plain (写真1)

きっと巣を落とされた番(つがい)にちがいない、これは何とか子育てにつなげたい、そうこうしているうちに先ほどの2羽の番(つがい)が戻ってきたのです。12分後です。そして、今度は仲良く巣の中に入りました。このとき一緒にいた学校の代行員さんが先に天井の蛍光灯を点けてくれていたので、すぐにわかったのです(写真2)。外はさらに薄暗くなっていましたから、最終的な外出から帰ってきたのかもしれません。やがてカラスの声もしなくなりました。

f:id:akatsukaa:20170522234953j:plain (写真2)

もしかしたら、このような産卵前から、すでにツバメとカラスとの攻防戦が始まっているのかもしれない、そんなふうにも思えてきたのです。時間がないな……。

今回のカラス対策とは、森の手入れに入る前に作っておいた「警告文」です(写真3)。最近のニュースでご存知の方も多いと思いますが、「カラス侵入禁止」の掲示物によってカラスが寄り付かなくなるというので、さっそくやってみることにしたのです。

f:id:akatsukaa:20170522235059j:plain (写真3)

ピロティの上のほうには雨は当たらないので、掲示物の劣化や損傷はさほど考える必要もなく、A3用紙をラミネートし、2穴パンチして、100円ショップで購入した園芸用の細い針金を適当な長さにニッパで切り、柱に張られているワイヤーロープや配管に吊り下げました。合計12枚、風に煽られ位置がずれて重なってしまったものもありますが、取り付け場所としてはまずまず(写真4)。

f:id:akatsukaa:20170522235314j:plain (写真4)

風でバタバタ音を立てるこれらの掲示物に、かえってツバメたちが驚き、去ってしまわないかが心配でもあったのですが、取り付けている間、背にしていたのでどうだったでしょうか。

カラスの侵入を阻むにはやはり人の目が必要でしょうから、警告文自体に慣れてしまう前にさらにどうするか、です。

人気(ひとけ)のない朝や夕暮れ時、学校の休業日で部活動などがない昼間も、カラスの狙い目でしょう。

この警告文の効用は、別の点でより期待できそうです。実際の取り組みにより、ニュースがより身近な話題となる、ツバメやカラスへの視線が増える、ツバメへの理解を啓発する足掛かりになる、私とツバメやカラスの話をする生徒が確実に増える──。

一方、学校は教育の場といいながら、学校やその周辺の生態系に無頓着であるのは、大きな矛盾です。これからはその矛盾を問題視していく時代である、と考えています。

巣が……

5月12日、仕事で校内の植栽等を見て回る途中、ツバメの巣のあるピロティに行きました。ツバメの姿は確認できませんでしたが、巣に異変はありませんでした。それが12日の17時近くです。

14日、一週間前に笹刈りの手伝いをしてくれた卒業生がこの日も来てくれました。

笹刈りの作業に入る前に、ツバメの巣を見ることに。行ってみて、びっくり。

「えっ? あれ? ない!」

5日にツバメの居た巣が、左右のふちを残して消えていたのです(写真1,2)。

f:id:akatsukaa:20170520220755j:plain (写真1:14日14時40分)

f:id:akatsukaa:20170520220950j:plain (写真2:14日14時40分)

異変のなかった12日17時頃から2日足らず。泥巣の残骸は見当たりません。コンクリート張りの床はきれいに掃除されたようです(写真3)。

f:id:akatsukaa:20170520221449j:plain (写真3)

カラスの仕業……。襲われたとして、夜間は考えられないので、13日の明るくなってから暗くなるまでの間か、14日の空が白んでから昼過ぎくらいまでの間でしょうか。13日は日中、本降りの雨でした。14日は晴れていました。

状況を把握するため、15日の月曜から聞き取りをしました。

巣が壊されているので、その残骸がピロティのコンクリート床に落ちて散乱していたとしてもいいはずだからです。

14日午前中、10時前後に野球部のマネージャーらが床一面、掃除をしたことが分かりました。直接その巣が落ちていたであろう箇所の掃除を担当した生徒に、話を聞いてみたいと思ったのですが、すでに下校していたので、改めて話を聞くことにしました。

その後、15日17時半近く、ピロティの上、体育館の脇から、墨色の雲が流れていく(写真4,5,6)のを見たりしていました。するとツバメが2羽、飛来しているのが目に入り、姿を追っていると、何とピロティに出入りしているではありませんか。

f:id:akatsukaa:20170520221654j:plain (写真4:西側の森北端方向から流れて来る)

f:id:akatsukaa:20170520221934j:plain (写真5:学校から北の方角)

f:id:akatsukaa:20170520222048j:plain (写真6:東側の森北端方向)

巣を壊された番(つがい)でしょうか。子育てに希望が持てるかもしれません。

さて翌日、改めてその巣が落ちていたであろう箇所の掃除を担当した生徒からも、話を現場で聞くことができました。

ピロティのコンクリート床に泥巣の残骸や卵の殻、羽など何か落ちていなかった? 何か、気がついたことはなかった?

砂や土埃はあったけれど、特に土の塊のようなものはなかった、といいます。

13日は雨模様で、野球部員はピロティで素振りや腹筋等をしていたとのこと。コンクリート床を掃除したのは、14日の午前10時前後。

襲われたとすれば、生徒のいない13日の早朝あるいは夕方、14日の早朝あたりでしょうか。

生徒たちにはこれから何か気づいたことがあったら教えてほしいと伝え、協力を願ったのです。

さて今後、カラス対策をどうするか、です。

笹刈り

5月5日、ツバメの姿を見た後、磯子高校の森の西側南端付近の笹刈りを行いました。ここは写真でご覧のとおり、笹が揃って2m以上に生長し、立ち枯れが見られるような状態にもなっています。高木層との階層構造を成していますが、笹薮の中の地表付近には他の植物(草本類等)は皆無に等しく、割と長い間、放置されてきた様子です。といって、どこにも迷惑のかかる場所ではありませんから、問題はありません(写真1,2,3,4,5)。

f:id:akatsukaa:20170514074159j:plain (写真1)

f:id:akatsukaa:20170514074406j:plain (写真2)

f:id:akatsukaa:20170514074626j:plain (写真3)

f:id:akatsukaa:20170514075123j:plain (写真4)

f:id:akatsukaa:20170514075503j:plain (写真5)

写真6は、刈り取った笹を下ろしています。

f:id:akatsukaa:20170514075840j:plain (写真6)

笹を目の敵(かたき)にしているわけではありませんが、このような場所の笹刈りを行おうと思ったのは、以前にも触れたように、表土層がほとんど改変されていないと見受けられるからです。そのような所には、かつて自生し活動していたであろう植物の種子や地下部(茎や根)が休眠状態にあり、地上の環境の変化による出番に向けて待機している可能性があるのです。

それは潜在的な植生という意味ではなく、現に存在する植生の顕現ではないかと思うのです。地中にそれらの種子や地下部の器官が残されていることで実現するからです(地中にそれらが残されていなくとも、この森の存在する地域の諸条件から考えられるのが潜在自然植生、つまり極相を迎えた状態です。今はこの森の極相(クライマックス)を考えているわけではありません)。ですから、ほとんど改変されていない表土層があれば、その中に埋もれている種子や地下部によって、かつての植生が復帰する可能性は格段に高まると考えられるのです。ここで言っているかつての植生の復帰とは、潜在自然植生ではなく、人の手の入っていた雑木林の植生のことです。

そうしたことに関心のある人たちがどれほどいるかといえば、割合的にはほとんどいないでしょう。しかし、可能性の判断は多数決で決めることではありません。また当然ながら、植物が人の多数決によって、休眠から目覚めることを選択するわけもありません。

職場の上司から、機械の使用は安全上、控えるよう言われているため、すべて手作業で森の手入れを始めています。でも、苦ではありません。今回の笹刈りも手鎌一本でほぼ行っています。あとは剪定ばさみ、のこぎりをベルトに装着して適宜、使用しているだけです。根掘りも携行しています。2時間くらいが作業時間としての一区切りの目安です。

5日に続けて7日にも作業を行いました。この日は急な話の持ち掛けにもかかわらず、卒業生二人が来てくれ、手伝ってくれました。おかげでこの日の作業は捗(はかど)りました(写真7)。

f:id:akatsukaa:20170514080619j:plain (写真7)

余談になりますが、こんな所になぜあるのか、という物が時に出てくることがあります。笹刈りを進めていくと、今回出てきたのが茶碗らしきものでした(写真8)。 (※写真1の白くたなびいているのは、怪奇現象ではなく、蚊取り線香の煙です)

f:id:akatsukaa:20170514080803j:plain (写真8)

巣に居る初ツバメ

5月5日、この日は野球部の練習試合があり、校内には人が多く、体育館のピロティも荷物が置かれていました。うろうろすると、不審な者に見えるだろうなと思いながらも、ツバメが気になって様子を見に行きました。後で森の作業をするための服装をし、長靴を履き、道具等入れるカゴを持ち、そしてカメラを提げている姿は、むしろ目立ったかもしれません。

と、そんなことを気にしている暇はなく、すぐに一羽のツバメが止まっているのが目に付きました。飛び立たれないように姿勢を低くして、カメラを構えました。何枚か撮ってホッとし(写真1,2)、まだ飛び立つ気配がないのでツバメから見て左側から右側へ移動し、また何枚か撮影しました(写真3,4)。その間、ツバメは警戒心を持ちつつも、身繕いに余念がなく、いろいろなしぐさを見せてもらいました。そして、何かを察知したかのように羽繕いをやめ、素早く飛び立っていったのです。

f:id:akatsukaa:20170514021843j:plain (写真1)

f:id:akatsukaa:20170514022824j:plain (写真2)

f:id:akatsukaa:20170514022953j:plain (写真3)

f:id:akatsukaa:20170514023055j:plain (写真4)

新たな巣を作っている様子はなく、先日糞の落ちていた所を見上げると、そのうちの一つにツバメの姿が確認できました(写真5)。

f:id:akatsukaa:20170514023147j:plain (写真5)

このまま、うまく子育てにつながってくれると嬉しいですね。