カラスに告ぐw
5月21日、森の下草や笹刈りを少々したあと、カラス対策の試みです。
18時半過ぎにピロティにいくと、ツバメの姿はなく、外ではハシブトガラスがカーカーとしきりに鳴いているのが、ピロティの東側から聞こえてきました。やはり巣が壊れていたのはカラスの仕業なのかなと思いながら準備をしていると、2羽のツバメがピロティに入ってきました。天井近くを旋回し、配管の上に止まりました(写真1)。飛び立つと壊された巣とは別の、以前からある巣のあたりを2羽とも羽ばたきながら近寄り、覗き込んだような姿勢はしたものの、止まることなくまた外へ飛び去っていきました。
(写真1)
きっと巣を落とされた番(つがい)にちがいない、これは何とか子育てにつなげたい、そうこうしているうちに先ほどの2羽の番(つがい)が戻ってきたのです。12分後です。そして、今度は仲良く巣の中に入りました。このとき一緒にいた学校の代行員さんが先に天井の蛍光灯を点けてくれていたので、すぐにわかったのです(写真2)。外はさらに薄暗くなっていましたから、最終的な外出から帰ってきたのかもしれません。やがてカラスの声もしなくなりました。
(写真2)
もしかしたら、このような産卵前から、すでにツバメとカラスとの攻防戦が始まっているのかもしれない、そんなふうにも思えてきたのです。時間がないな……。
今回のカラス対策とは、森の手入れに入る前に作っておいた「警告文」です(写真3)。最近のニュースでご存知の方も多いと思いますが、「カラス侵入禁止」の掲示物によってカラスが寄り付かなくなるというので、さっそくやってみることにしたのです。
(写真3)
ピロティの上のほうには雨は当たらないので、掲示物の劣化や損傷はさほど考える必要もなく、A3用紙をラミネートし、2穴パンチして、100円ショップで購入した園芸用の細い針金を適当な長さにニッパで切り、柱に張られているワイヤーロープや配管に吊り下げました。合計12枚、風に煽られ位置がずれて重なってしまったものもありますが、取り付け場所としてはまずまず(写真4)。
(写真4)
風でバタバタ音を立てるこれらの掲示物に、かえってツバメたちが驚き、去ってしまわないかが心配でもあったのですが、取り付けている間、背にしていたのでどうだったでしょうか。
カラスの侵入を阻むにはやはり人の目が必要でしょうから、警告文自体に慣れてしまう前にさらにどうするか、です。
人気(ひとけ)のない朝や夕暮れ時、学校の休業日で部活動などがない昼間も、カラスの狙い目でしょう。
この警告文の効用は、別の点でより期待できそうです。実際の取り組みにより、ニュースがより身近な話題となる、ツバメやカラスへの視線が増える、ツバメへの理解を啓発する足掛かりになる、私とツバメやカラスの話をする生徒が確実に増える──。
一方、学校は教育の場といいながら、学校やその周辺の生態系に無頓着であるのは、大きな矛盾です。これからはその矛盾を問題視していく時代である、と考えています。
巣が……
5月12日、仕事で校内の植栽等を見て回る途中、ツバメの巣のあるピロティに行きました。ツバメの姿は確認できませんでしたが、巣に異変はありませんでした。それが12日の17時近くです。
14日、一週間前に笹刈りの手伝いをしてくれた卒業生がこの日も来てくれました。
笹刈りの作業に入る前に、ツバメの巣を見ることに。行ってみて、びっくり。
「えっ? あれ? ない!」
5日にツバメの居た巣が、左右のふちを残して消えていたのです(写真1,2)。
(写真1:14日14時40分)
(写真2:14日14時40分)
異変のなかった12日17時頃から2日足らず。泥巣の残骸は見当たりません。コンクリート張りの床はきれいに掃除されたようです(写真3)。
(写真3)
カラスの仕業……。襲われたとして、夜間は考えられないので、13日の明るくなってから暗くなるまでの間か、14日の空が白んでから昼過ぎくらいまでの間でしょうか。13日は日中、本降りの雨でした。14日は晴れていました。
状況を把握するため、15日の月曜から聞き取りをしました。
巣が壊されているので、その残骸がピロティのコンクリート床に落ちて散乱していたとしてもいいはずだからです。
14日午前中、10時前後に野球部のマネージャーらが床一面、掃除をしたことが分かりました。直接その巣が落ちていたであろう箇所の掃除を担当した生徒に、話を聞いてみたいと思ったのですが、すでに下校していたので、改めて話を聞くことにしました。
その後、15日17時半近く、ピロティの上、体育館の脇から、墨色の雲が流れていく(写真4,5,6)のを見たりしていました。するとツバメが2羽、飛来しているのが目に入り、姿を追っていると、何とピロティに出入りしているではありませんか。
(写真4:西側の森北端方向から流れて来る)
(写真5:学校から北の方角)
(写真6:東側の森北端方向)
巣を壊された番(つがい)でしょうか。子育てに希望が持てるかもしれません。
さて翌日、改めてその巣が落ちていたであろう箇所の掃除を担当した生徒からも、話を現場で聞くことができました。
ピロティのコンクリート床に泥巣の残骸や卵の殻、羽など何か落ちていなかった? 何か、気がついたことはなかった?
砂や土埃はあったけれど、特に土の塊のようなものはなかった、といいます。
13日は雨模様で、野球部員はピロティで素振りや腹筋等をしていたとのこと。コンクリート床を掃除したのは、14日の午前10時前後。
襲われたとすれば、生徒のいない13日の早朝あるいは夕方、14日の早朝あたりでしょうか。
生徒たちにはこれから何か気づいたことがあったら教えてほしいと伝え、協力を願ったのです。
さて今後、カラス対策をどうするか、です。
笹刈り
5月5日、ツバメの姿を見た後、磯子高校の森の西側南端付近の笹刈りを行いました。ここは写真でご覧のとおり、笹が揃って2m以上に生長し、立ち枯れが見られるような状態にもなっています。高木層との階層構造を成していますが、笹薮の中の地表付近には他の植物(草本類等)は皆無に等しく、割と長い間、放置されてきた様子です。といって、どこにも迷惑のかかる場所ではありませんから、問題はありません(写真1,2,3,4,5)。
(写真1)
(写真2)
(写真3)
(写真4)
(写真5)
写真6は、刈り取った笹を下ろしています。
(写真6)
笹を目の敵(かたき)にしているわけではありませんが、このような場所の笹刈りを行おうと思ったのは、以前にも触れたように、表土層がほとんど改変されていないと見受けられるからです。そのような所には、かつて自生し活動していたであろう植物の種子や地下部(茎や根)が休眠状態にあり、地上の環境の変化による出番に向けて待機している可能性があるのです。
それは潜在的な植生という意味ではなく、現に存在する植生の顕現ではないかと思うのです。地中にそれらの種子や地下部の器官が残されていることで実現するからです(地中にそれらが残されていなくとも、この森の存在する地域の諸条件から考えられるのが潜在自然植生、つまり極相を迎えた状態です。今はこの森の極相(クライマックス)を考えているわけではありません)。ですから、ほとんど改変されていない表土層があれば、その中に埋もれている種子や地下部によって、かつての植生が復帰する可能性は格段に高まると考えられるのです。ここで言っているかつての植生の復帰とは、潜在自然植生ではなく、人の手の入っていた雑木林の植生のことです。
そうしたことに関心のある人たちがどれほどいるかといえば、割合的にはほとんどいないでしょう。しかし、可能性の判断は多数決で決めることではありません。また当然ながら、植物が人の多数決によって、休眠から目覚めることを選択するわけもありません。
職場の上司から、機械の使用は安全上、控えるよう言われているため、すべて手作業で森の手入れを始めています。でも、苦ではありません。今回の笹刈りも手鎌一本でほぼ行っています。あとは剪定ばさみ、のこぎりをベルトに装着して適宜、使用しているだけです。根掘りも携行しています。2時間くらいが作業時間としての一区切りの目安です。
5日に続けて7日にも作業を行いました。この日は急な話の持ち掛けにもかかわらず、卒業生二人が来てくれ、手伝ってくれました。おかげでこの日の作業は捗(はかど)りました(写真7)。
(写真7)
余談になりますが、こんな所になぜあるのか、という物が時に出てくることがあります。笹刈りを進めていくと、今回出てきたのが茶碗らしきものでした(写真8)。 (※写真1の白くたなびいているのは、怪奇現象ではなく、蚊取り線香の煙です)
(写真8)
巣に居る初ツバメ
5月5日、この日は野球部の練習試合があり、校内には人が多く、体育館のピロティも荷物が置かれていました。うろうろすると、不審な者に見えるだろうなと思いながらも、ツバメが気になって様子を見に行きました。後で森の作業をするための服装をし、長靴を履き、道具等入れるカゴを持ち、そしてカメラを提げている姿は、むしろ目立ったかもしれません。
と、そんなことを気にしている暇はなく、すぐに一羽のツバメが止まっているのが目に付きました。飛び立たれないように姿勢を低くして、カメラを構えました。何枚か撮ってホッとし(写真1,2)、まだ飛び立つ気配がないのでツバメから見て左側から右側へ移動し、また何枚か撮影しました(写真3,4)。その間、ツバメは警戒心を持ちつつも、身繕いに余念がなく、いろいろなしぐさを見せてもらいました。そして、何かを察知したかのように羽繕いをやめ、素早く飛び立っていったのです。
(写真1)
(写真2)
(写真3)
(写真4)
新たな巣を作っている様子はなく、先日糞の落ちていた所を見上げると、そのうちの一つにツバメの姿が確認できました(写真5)。
(写真5)
このまま、うまく子育てにつながってくれると嬉しいですね。
ツバメは居るのかな
4月21日の夕方、ツバメの様子を見に行きました。姿は見えず、何だか気配もしません。先日、見掛けたときには昨年までに造られていた巣に近づいていましたから、再利用の品定めをしていたのかもしれません。他に行ってしまったのかなと残念に思っていると、薄暗いピロティのコンクリート張りの足元に、何か白い点々としたものが目に入ったのです。しゃがんで確かめると、鳥の糞です。そして、そのちょうど真上に巣があるのです。古巣はいくつもあるので、すべて見て回りました。
写真1は、コシアカツバメの巣(写真2)の真下です。
(写真1)
(写真2)
写真3の真上には、写真4のツバメの巣があります。
(写真3)
(写真4)
写真5はこれも糞かな、という程度のものですが、その真上には写真6の巣があります。
(写真5)
(写真6)
少しの間、見上げて様子を窺っていたのですが……。
どうでしょう、居るんでしょうか。
ツバメ再び
今シーズンからは、ツバメの飛来を気にかけて4月を迎えようと思っていました。
4月3日の時点では、まだかな、と様子を窺った程度でしたが(写真1)、新年度が始まると、締め切りの早い仕事が立て続けに入るため、一週間があっという間で、様子を見に行くことも忘れてしまっていました。 (写真1)
4月12日、この日は良く晴れて9日に満開を迎えた職場のソメイヨシノも、いっそう華やかに見えました(写真2)。 (写真2)
この12日、たまたまといっていいくらい、仕事の一環でツバメの巣を見に行く機会ができ(これも同じ職場内なのですからいつでも見に行くことができ、大げさのように聞こえますが、気持ちに余裕がないわけです)、体育館のピロティに入って見上げると、驚いたことにロープにツバメが2羽止まっていました。番(つがい)のようです。今シーズン初、確認できました(写真3)。左側のほうが尾が長く見えます。そちらがオスでしょうか。 (写真3)
こうして見ると、もう少し前から、学校の上空にやって来ていたはずです。3日の時点でも、もう少し時間をかけて眺めていたら、もしかしたら営巣場所を探す姿が見つけられたのかもしれません。
時間がなかなか取れないため、その他のツバメがやって来ているのかまでは分かりません。コシアカツバメもすでに来ているかもしれませんが、まだ今のところ確認できていません。